クロスレシオ、ワイドレシオ、奥が深いギア比の世界

更新日: 2022年3月2日

公開日: 2020年11月26日

クロスレシオ、ワイドレシオ、奥が深いギア比の世界。スプロケットの歯数を変えることでどんなメリット・デメリットがあるのか、チェーンリングとの組み合わせなどを見ていきます。

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クロスレシオ(close ratio)

リアスプロケットの歯数差が小さいスプロケット構成をクロスレシオと呼びます。最近のシマノのスプロケットで言えば、ロード向け11速の11-25Tは、

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の11段になっていて、最初の8段は歯数が1枚しか変わりません。このように段数ごとのギア比の数字が「近い(close)」ため、クロスレシオを呼ばれます。

クロスレシオのメリット

歯数差が少ないということは段数ごとのギア比差が少ないということですので、シフトチェンジをした時に重さの変化が少なく、スムーズに変速が可能になります。

また、坂などの勾配によって細かくギア比を変えて負担を軽減させたいシーン、もしくは自分に最適なケイデンスで高速巡航したい時などには、クロスレシオが生きてきます。

クロスレシオのスプロケットは、歯数が少ない分、少しだけ重量が軽くなるのもメリットの一つです。

クロスレシオのデメリット

一方で、歯数差が少ないため平坦な道でない、勾配差が多い道を走る時は必然的にシフトチェンジが増えてきます。また、一気に加速したい時は連続してシフトアップが必要になります。

しかし、シマノのSTIレバーであれば、深くレバーを入れると2段もしくは3段一気に変速する仕組みになっているので、慣れればシフトチェンジ次第でワイドレシオのような大きなギア比でのシフトチェンジも可能になります。

ワイドレシオ(wide ratio)

クロスレシオの反対で、リアスプロケットの歯数差が大きいスプロケット構成をワイドレシオと呼びます。

例えば、先程のクロスレシオの例と同じ11速のスプロケットでも、11-32Tとなると、

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と同じ11段でも歯数がクロスレシオのスプロケットと全く異なり、特にロー側の歯数差が大きい(広い)ため、「wide(ワイド)」レシオをと呼ばれます。

ロードバイク向けでは11-32Tくらいが最大となりますが、フロントシングル化が進んでいるMTB向けのコンポでは11-51Tという超ワイドレシオなスプロケットもラインアップされています。

ワイドレシオのメリット

ワイドレシオのメリットは、歯数が多いギアがあることです。スプロケットの歯数が多いということは、フロントとの歯数差が少ないので当然ギア比が小さくなり軽く踏めます。ただし、ギア比1台の軽いギア比は相当な激坂でない限り出番がないので、普段走る道によっぽど急な坂がない限りは出番は少なく、「保険的なギア」になるかもしれません。

ここ数年で、ロードでもMTBでもワイドレシオを採用するケースが多くなってきていますが、ワイドレシオは「守備範囲が広い」ので、フロントのインナー・アウターを使い分けをしなくても、ある程度対応できるという点もあります。フロントを使わないとチェーン落ちなどの変速トラブルを回避できます。

ただし、フロントとの組み合わせ次第で、チェーンがたすき掛けになってしまうので注意が必要です。

ワイドレシオのデメリット

ワイドレシオは、隣同士の歯数差が大きく、当然ギア間のギア比も大きくなるため、シフトチェンジした時にペダルを踏む重さがクロスレシオよりも大きくなります。

そのため、クロスレシオのスプロケットに比べるとシフトチェンジをすると同じケイデンス・パワーを維持できない時間が僅かだけ発生し、ロスが生まれてしまいます。

ただ、現行のロード向けの12速、11速のスプロケットの歯数差は、ワイドレシオでも8速、9速のクロスレシオの歯数差(2〜3T程度)と同じくらいなので、11速以上のスプロケットであれば、そこまで大きなデメリットではないでしょう。

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クロスレシオ、ワイドレシオ、どちらを選ぶ?

変速段数(スピード数)に注意しよう

かつてはロードならクロスレシオ、MTBならワイドレシオというのが定番でしたが、ここ数年でロードもワイドレシオの需要が高まっています。

その要因の一つとして最新のシマノのコンポーネントの105以上が11速になったことも大きいでしょう。スプロケットの枚数が増えれば、ワイドレシオなスプロケットでもスピードごとのギア比差を小さくできるため、広いギア比をカバーしつつ、細かなシフトチェンジが欲しいロード的な走りにも対応出来るからです。

ただし、シマノのコンポーネントでも、ロードバイク向けならSORAやCLARISは、スピード数が8速(CLARIS)もしくは9速(SORA)と段数が多くないので、あまりにクロスレシオにしすぎてしまうと坂で対応できなくなったり、逆にワイドレシオにしすぎて「全然使わないギアがある」ということもあるので、どのレンジをよく使うのかで選ぶようにしましょう。

フロントチェーンリングの歯数も重要

スプロケットは細かいギア比の調整をするために使いますが、「もっと軽くしたい」「もっと速度をあげたい」という場合は、スプロケットを変えるよりも、チェーンリングの歯数を変更して全体のギア比を変化させた方が効果的です。

例えば、ロードバイク向けのフロントアウターのチェーンリングを52Tが多いですが、チェーンリングを52Tから53Tに変更する、もしくは少し落として50Tにするなど、リアは同じスプロケットのままでもチェーンリングだけでギア比を変えることが出来ます。

「あまり脚力に自信がない」という場合は、フロントアウターを46Tなどの軽いチェーンリング(コンパクトクランク)に変更することで、全体的に軽くするというのもアリです。

段数 46T 50T 52T 53T
11 4.2 4.5 4.7 4.8
12 3.8 4.2 4.3 4.4
13 3.5 3.8 4.0 4.1
14 3.3 3.6 3.7 3.8
15 3.1 3.3 3.5 3.5
16 2.9 3.1 3.3 3.3
17 2.7 2.9 3.1 3.1
19 2.4 2.6 2.7 2.8
21 2.2 2.4 2.5 2.5
23 2 2.2 2.3 2.3
25 1.8 2 2.1 2.1

フロントが3〜4変わると、概ね1段くらい変わるイメージです。

プロ選手でもコースによってチェーンリングを変えることがあるということですので、リアは敢えてクロスレシオのスプロケットにしておいて、走るコースによって「クライムの時は50T」「平地のサイクリングなら52T」など、チェーンリングでギア比を変えるというのも一つの手です。

チェーンリングはクランクを外さないでもレンチで簡単に交換が出来るので、手軽に全体のギア比を変更できるというメリットもあります。

なお、クランクのタイプによってチェーンリングの規格であるPCDが異なることもあるので、チェーンリングを交換する際は、PCDをしっかりチェックしてから新しいチェーンリングを購入するようにしてください。

スプロケットの選択次第でフロントの変速回数が減る場合も

リアスプロケットの構成は、フロントと組み合わせた変速にも影響してきます。

例えば、同じ11速でも、フロント変速をするリア段数(7・8速、3・4速)近辺のギア比が自分の巡航速度に合うように選択すれば、巡航速度から少し落としたい・上げたい時に、わざわざフロントの変速をしないで微調整ができます。

ワイドレシオの場合、一つ上げたり下げたりした場合のギア比の差が大きくなるので、巡航速度によっては「軽すぎる・重すぎる」ということになり、結局フロントの変速を混ぜて使うことになります。

シマノのコンポの場合、上位グレードほどフロントの変速がスムーズになるように設計されていますが、それでもどうしても時差は生まれてしまうため、安定して巡航速度を維持したいような時は、自分の巡航速度にあったスプロケットを選ぶと、シフトチェンジを楽にすることができます。

クロス⇔ワイドでスプロケットを交換する際の注意点

ディレイラーのキャパシティに注意しよう

自転車のディレイラーには、対応するスプロケットのロー最大歯数、トップ最大歯数が決められています。また、トータルキャパシティと呼ばれる、フロントとリアの歯数構成にも上限があります。

対応外のスプロケットを装着すると、しっかりと変速が出来ないだけでなくリアディレイラーの破損にもつながる可能性があるので、メーカーが推奨するスプロケット歯数の範囲内で交換するか、対応するリアディレイラーに交換しましょう。

チェーンの長さが変わることも

クロスレシオからワイドレシオへのスプロケットを交換すると、歯数の差によってはチェーンの長さが大きく変わります。

例えば、ロー最大25Tのクロスレシオから、ロー最大34Tのワイドレシオに交換すると、ロー最大歯の外周が大きくなるため、チェーンがスプロケットの周りを回る際に必要なチェーンのコマ数が増えます。

スプロケットの周りを回る際に必要なチェーンのコマ数が増えるとリアディレイラーのプーリーケージがフロント側に引っ張られてしまうため、チェーンを長くする(コマ数を増やす)必要が出てきます。

逆に、ワイドからクロスに交換をすると、チェーンのコマ数が多過ぎてトップ時にチェーンのテンションが緩くなってしまい、変速に影響が出る可能性があります。

2Tや4Tくらいの差であればチェーン交換をしないでも吸収できることがほとんどですが、10T近く変わる場合はチェーンの交換が必要な場合があると覚えておきましょう。

ロードバイクの仕組みを知ろう

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