ホイールの精度を高めるための専用ツールが自転車のホイール振れ取り台・調整ツール。振れ取り台の選び方や主なメーカーの振れ取り台をまとめました。
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スポーツ自転車のブレーキの種類と違い
公開日: 2021年8月12日
スポーツ自転車には様々なタイプのブレーキが搭載されています。それぞれのブレーキと特徴や違い、メリット・デメリット、今後買うならどのブレーキの自転車を買えば良いのかをまとめました。
この記事の目次
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自転車のブレーキの種類
ディスクブレーキ
レースシーンでは主流になりつつあるのがディスクブレーキです。
ホイールに取り付けたディスクローターを、フレーム・フォークに取り付けたキャリパーで挟み込んで制動します。タイヤ上にクリアランスを取れるため、細いタイヤでも太いタイヤでも履けるというメリットがあります。
また、キャリパーブレーキにように細かい制動ができる一方で、タイヤが巻き上げる泥の影響が少ないホイールハブ付近で制動をするため、泥詰まりが少なく、雨天でも制動力が落ちないというメリットもあります。
いわば、Vブレーキの良いところとキャリパーブレーキの良いところが両方あるのがディスクブレーキです。
従来のホイールのリムを挟み込んで制動するタイプのブレーキでは、ホイールのリムが摩耗するとホイールを交換する必要がありましたが、ディスクブレーキの場合は摩耗するのはディスクローターのため、ホイールを交換しないで長く使えるというメリットもあります。
メリットばかりのように感じるディスクブレーキですが、最大のデメリットはコスト。従来のブレーキよりも部品点数も多く、対応するフレーム・フォーク、ホイールを用意する必要があるため、どうしても高額になってしまいます。
ロードバイクのディスクブレーキ化に必要なパーツと買う時の注意ポイント
ここ数年でグッと増えてきたディスクブレーキ搭載ロードバイク。「ディスクブレーキは試したいけど、車体の買い替えはしたくない」という方のために、ディスクロード化に必要パーツと買う時の注意ポイントをまとめました。
実際に、同型の完成車でもキャリパーブレーキ車とディスクブレーキ車では、ディスクブレーキ車の方が価格が1〜2万ほど高くなっています。
また、構造的に数ミリ単位での調整が必要になるため、メンテナンスがしっかりされていないと音鳴りがしたり、ディスクローターのサビが進んだりと、意外と手がかかるブレーキではあります。
リムブレーキ(キャリパーブレーキ)
現在の主流であるリムブレーキ(キャリパーブレーキ)は、ブレーキ自体がアーチ型になっているのが特徴です。いわゆるママチャリと呼ばれるシティサイクルや電動アシスト自転車の前輪、スポーツバイクではロードバイクで前後に採用されているブレーキタイプです。
ホイールのリムをキャリパーを挟んでブレーキシューとの摩擦で制動する仕組みで、シンプルかつメンテナンスもしやすいことから様々な自転車採用されています。
後述のVブレーキよりも止まる力は弱いですが、細かい制動力に優れているため、ロードバイクでは現在でも主流です。
リムが濡れると制動力が落ちるほか、リム高のある「エアロホイール」の軽量化に限界があることから、プロレースの世界ではディスクブレーキ化が進んでいますが、市販車ではまだ数年はリムブレーキ車がメインとなるでしょう。
ダイレクトマウントブレーキ
形状はリムブレーキ、機構的にはVブレーキに近いのがダイレクトマウントブレーキです。
リムブレーキは通常、ブレーキ本体から出ている1本のボルトをフレーム・フォークの穴に固定して取り付けますが、ダイレクトマウントブレーキはブレーキ本体から出ている2本のボルトでフレーム・フォークに2点留めし、そこを支点にブレーキが動作します。
そのため、フレーム・フォークとの固定力が高く、ブレーキの構造的にもVブレーキに近い仕組みとなり、通常のリムブレーキより強いブレーキングバワーを得ることができます。
ただし、ダイレクトマウントブレーキはどんな自転車でも使えるわけではなく、
- フレーム・フォークに専用の穴が空いている
- リアブレーキのワイヤールーティングがダイレクトマウントの場所に向かっている
という2点を抑えた専用のフレームでないと取り付けができません。逆に、ダイレクトマウント用フレームは、通常のリムブレーキが取り付けできません。
Vブレーキ
MTB、クロスバイクのかつての主流のブレーキです。サイズの小さい「ミニVブレーキ」も同じ種類です。
左右に独立したアームをワイヤーで引っ張ることでリムを挟み込む仕組みで、リムブレーキと違ってアーチになっていないため太めのタイヤを履くことが出来ます。
仕組み的にはリムを挟んで制動するため、リムブレーキと同じなのですが、Vブレーキはキャリパーの移動幅が多く、てこが大きく効くため、リムブレーキよりも制動力が高いとされています。
また、構造的に泥詰まりが起こりづらいこと、強い制動力があることから、MTBやMTBベースのクロスバイクで広く採用されています。
レースグレードの完成車では、同様の特徴があるディスクブレーキに徐々に移行しつつありますが、価格を考えると低価格なMTB系では数年はVブレーキが主流でしょう。
カンチブレーキ
Vブレーキに見た目が似ているのがカンチブレーキ。
かつてのMTBのブレーキの主流でしたが、現在はVブレーキ、そして徐々にディスクブレーキへと移行してきたため、新車で採用されるケースは僅かになってきました。
二つのアームを一本のワイヤーで繋いでいるVブレーキと違い、カンチブレーキはそれぞれのアームから伸びた2本のワイヤーを一つに束ねてレバーに送るという違いがあります。
見た目的には、アームについているワイヤーが「横一直線で繋がってから上に伸びる」のであればVブレーキ、「アームからそのまま上に伸びて一つにまとめる(ブレーキ上で三角形になる)」のがカンチブレーキです。
構造的にVブレーキとほとんど同じですが、Vブレーキよりも制動力が高くないというデメリットがあります。
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各ブレーキの仕様の違いとメリット・デメリットを比較
続いて、各ブレーキの仕様の違いとメリット・デメリットを比較してみましょう。
種類 | 消耗品 | 対応フレーム | 対応ホイール | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|---|
ディスクブレーキ | ブレーキパッド | ディスク台座付き | ディスクブレーキ専用 | 制動力が高い 雨天でも制動力が落ちない 太いタイヤが履ける ホイールを長く使える |
専用のフレーム・ホイールが必要 構成パーツが多い |
リムブレーキ | ブレーキシュー | リム台座付き | リムブレーキ専用 | メンテナンスが簡単 シンプルな構造で安い |
構造的に太いタイヤが履けない 雨天で制動力が落ちる |
Vブレーキ | ブレーキシュー | Vブレーキ台座付き | リムブレーキ専用 | 停止力が強い 太いタイヤが履ける 泥詰まりしづらい |
細かい制動がしづらい |
カンチブレーキ | ブレーキシュー | Vブレーキ台座付き | リムブレーキ専用 | 太いタイヤが履ける 泥詰まりしづらい |
制動力が弱い |
コストを度外視すれば、リムブレーキとVブレーキの良いとこ取りのディスクブレーキが選ばれることは理解できます。最近では、数万円の完成車でもディスクブレーキが採用されてきていることから、この先数年で低価格化も進むでしょう。
一方で、メンテナンスの容易さや低価格という意味では、リムブレーキ、Vブレーキもメリットがあります。今後ディスクブレーキ化が進んでも、低価格車を中心にある程度はリムブレーキ、Vブレーキが残るのではないでしょうか。
ただし、スポーツ自転車のハイエンドモデルは、ディスクブレーキ化が進んでいく流れになっているので、リムブレーキ、Vブレーキで運用をしたい方は、新品や状態の良い中古のスペアパーツを今から入手しておいた方が良いかもしれません。
新車を買うならディスクブレーキが良い?
これから自転車を新車で買おうと考えている方は、ディスクブレーキモデルにするかどうかは悩むポイントです。ディスクブレーキはフレーム・フォークにディスク台座がないと対応できないため、いざディスク化したい時に、フレーム交換、ホイール交換と、新車を買うくらいの値段になってしまうためです。
ただし、「今後のことを考えて」と無理にディスクブレーキ車を選ぶ必要はありません。
というのも、今後もリムブレーキ・Vブレーキ対応の新製品は数年は発売されるでしょうし、数年経てばディスク車が一般的になって、リムブレーキ車との価格差は縮まってくる可能性があります。そうなったら、買ったリムブレーキ車を中古で売って、価格のこなれたディスクブレーキ車に買い換えれば良いのです。
その意味では「いま、ディスクブレーキ車に乗りたい」のであれば、ディスクブレーキを選べば良いと言えます。