シマノのロードバイク、MTB、クロスバイク用コンポーネントで採用されているチェーンの互換性を解説。チェーンの選び方について解説します。
自転車ディスクローターのサイズごとの特徴と選び方
公開日: 2023/12/27
自転車のディスクブレーキの性能を左右する要素の一つが「ローターのサイズ」について解説。ローターサイズで何が変わるのか、主なディスクローターサイズの特徴、利点、適した利用シーンや、自身に合うローターサイズの選び方を解説します。
この記事の目次
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ディスクローターのサイズが変わると何が変わる?
自転車のディスクローターには140mm、160mm、180mm、203mmというサイズがありますが、サイズが変わると主に以下の点に変化があります。
制動力
ディスクブレーキの制動力は「トルク(ローターを挟む力)とディスクローターの半径に比例する」します。小さなハンドルでクルクル回すよりも、大きなハンドルを回す方が力が伝わりやすいというのイメージするとわかりやすいでしょう。
同様に、同じ力でブレーキングをするなら、ディスクローターのサイズが大きいほど制動力が高くなります。
放熱性能
ディスクブレーキシステムでは、バイクが持つ推進力をローターを締め付けることで熱エネルギーに変換して制動をしています。ディスクローターは熱が溜まっている状態では制動力が落ちてしまいます。
変換された熱エネルギーはローターを経由うして空気中に放出されますが、ローターのサイズが大きくなるほど表面積が増え、放熱性が高くなります。
ただし、ローターの放熱性能はローターサイズだけでなく、メーカー独自の放熱機構(シマノのICEテクノロジーなど)によっても異なるため、必ずしもサイズが小さいから放熱性能が悪いとは限りません。
操作性
ここまで見てきた通り、ローターサイズは制動力と、制動力に影響がある放熱性能に影響があるため、ローターサイズを変えるとブレーキの操作性が変わります。
例えば、小さなローターは制動力は小さい分細かなブレーキングができますし、大きなローターは大きな制動力がある分、ブレーキングが力強くなってしまいます。
重量
ディスクローターは金属のプレートなため、サイズが大きくなるほど物理的な表面積が増えるため、重量も増加します。ローターサイズを変更すると、100g近く差が出ることもあります。
ローターの重量はバイク全体から見れば数%ほどですが、少しでも軽量に仕上げたいユーザーからすると100gは大きな差です。
主なディスクローターのサイズとそれぞれの特徴
サイズ | メリット | デメリット | 最適な利用シーン |
---|---|---|---|
140mm | 軽量 軽快な操作が可能 |
制動力が他のサイズに比べて低め 長時間のダウンヒル走行には向かない |
軽量でアグレッシブでない一般的な使用 |
160mm | 軽量さと制動力のバランスが良い | MTBのフロントでは制動力がやや低い | 都市での通勤や軽いオフロードライディング |
180mm | 中程度の制動力と熱放散性能 一般的なマウンテンバイクやトレイルライディングに最適 |
160mmよりも重く、一部のライダーにとっては過剰 操縦性への影響が大きい場合がある |
マウンテンバイクやトレイルライディング |
203mm | 高い制動力と効果的な熱放散 | 重量があり、軽量なバイクには不向き | ダウンヒルやエンデューロ、アグレッシブなトレイルライディング |
140mm
主にディスクロードバイクのリアブレーキで利用されるのが140mmのローター。ローターサイズが小さいため軽量で、それでも油圧ブレーキであればしっかりと制動力を出すことができます。
160mmよりも制動力は落ちますが、リアブレーキはスピード調整に使うのがメインとなるため、ロードバイクで急な長い下り坂がない場合は、140mmでも十分に制動力を得ることができます。
160mm
ロードバイクやグラベルロードバイク、クロスカントリー系のMTBで完成車の標準ローターとして選ばれるのが160mmサイズ。現在のスポーツ自転車で最もポピュラーなサイズです。なお、ロードバイク用のフラットマウントでは、160mmが最大サイズです。
140mmよりも制動力は高く、重量は上位グレードなら100g程度に抑えられることから、一番バランスの良いディスクローターサイズと言えます。
180mm
MTBのフロントブレーキのローターサイズとしてポピュラーなのが180mmサイズ。高い制動力だけでなく、大きいローターは放熱性が高い点もポイント。
長時間ブレーキングを続けてるとローターの熱がうまく放出されず、制動力が落ちてしまいますが、180mmサイズのローターであれば放熱するローターの金属部分が多いため、うまく熱を逃がしてくれます。
203mm
MTBのダウンヒルやエンデューロなどで採用されるのが203mmサイズ。急な坂や段差で瞬間的に高い制動力が必要となるMTBのダウンヒルやエンデューロにおいて、フロントのブレーキローターとして採用されるサイズです。
ローターサイズが大きいため重量があるのがデメリットです。
ローターサイズの選び方
ライディングスタイルに合ったサイズを選ぼう
一番重要なのは、自分のライディングスタイルに合うローターサイズを選ぶことです。
例えば街乗り用バイクであれば、そこまで速度を出さないため140mmサイズでも十分ですが、ロードバイクでも40km/hで巡航したり、ヒルクライムの下りを楽しむ場合は、140mmではなく160mmの方が安心してブレーキができます。
ただし、制動力が高ければ良いというわけでもありません。先ほど解説した通り、制動力が高いとブレーキ力が高くなる反面、細かな制動をしづらくなるため、慣れていないと急ブレーキになりがちです。
急ブレーキになると落車や前転してしまうリスクがあるため、「制動力の高さ」ではなく、自分が適切に制動できるサイズを選ぶのが重要です。
重量と制動力のバランスを考えよう
ロードバイクのしても、MTBにしても、「軽さは正義」と言われるほど、重量は重要なファクターです。
ローターサイズは大きいほど重くなるため、なるべく小さなローターで軽量化をしたいところですが、軽さを求めるあまり制動力が足りないと、事故につながるリスクがあります。
そのため、軽量さも追求しつつ、自分がしっかりとバイクを制動できる、というバランスが重要になります。