シマノのロードバイク、MTB、クロスバイク用コンポーネントで採用されているチェーンの互換性を解説。チェーンの選び方について解説します。
ロード用スプロケットとMTB用スプロケットの互換性
公開日: 2024/04/08
それぞれ別コンポーネントの互換システムにある、ロード用スプロケットとMTB用スプロケットは組み合わせて使うことができるのかを解説します。
この記事の目次
スポンサーリンク
ロード用とMTB用のスプロケットの互換性を確認する際のポイント
自転車コンポーネントのパーツの中でも、スプロケットは比較的互換性が緩いパーツと言われています。そのため、一部スプロケットについては、シマノのなどのコンポーネントメーカーも、ロード用とMTB用のスプロケットを共用パーツとしているケースがあります。
製品によっては互換性があるロード用のスプロケットとMTB用のスプロケットでも、完全に互換性フリーというわけではないことは初めに理解しておきましょう。
「メーカー公式互換」するスプロケット
ロード用とMTB用のスプロケットを互換性をチェックする際は、まずは変速コンポーネントの公式の互換チャートを確認しましょう。シマノなら「仕様・技術情報サイト1」、SRAMなら「Compatibility Map[^2]」で確認ができます。
シマノもSRAMも、ロードとMTBで互換性は別としていますが、一部のスプロケットは共用となっているため、自分のコンポから対応する共用スプロケットを探すのがベストです。
ただし、ロードとMTBの共用スプロケットは種類が少なく、歯数構成など目的のものではない可能性が高いため、その場合は公式互換外のスプロケットを使うことになります。
「メーカー公式対象外互換」スプロケット
コンポーネントメーカーの互換外のスプロケット・コンポーネントの組み合わせでも、変速数が同じであれば、使うことが可能なケースがあります。ただし、ここから解説する内容は「メーカー公式互換外」となるため、自己責任で行う必要があります。
自転車のスプロケットは、同じ変速数のスプロケットであれば、メーカーが違ってもギア間の距離や各ギアの厚みはコンマ数ミリ程度の差しかないことが多いため、そこは変速調整で吸収できてしまうケースがあります。もちろん、変速性能は落ちる可能性があります。
ロード用・MTB用のスプロケットとコンポを組み合わせて使う場合も多くが「コンポーネントメーカーの互換外のスプロケットを使う」ことになりますが、その場合は次の3点をチェックします。
- フリーボディ -> 取り付けが出来るか?
- ギアキャパシティ -> 変速が可能か?
- 変速テクノロジー -> メーカーが想定する変速性能が出せるか?
フリーボディの互換性
まず最初にチェックすべきが、スプロケットとフリーボディの互換性です。
例えば、シマノで言えばロード用12速スプロケットは「HG Spline L2」という規格、MTB用12速スプロケットは「Micro Spline」という規格になっており、互いに全く互換性がありません。そのため、使う場合はフリーボディ、もしくはホイールの交換が必要になります。
ここの互換性をクリアできると、「とりあえず現状のバイクに、スプロケットを取り付けができる」という状態になります。
フリーボディとスプロケットの互換性については、下記の記事をどうぞ。
混乱しやすいシマノのスプロケットとホイールの互換性をわかりやすく解説
どのホイールがシマノのどのスプロケットに互換するのか、いろんな組み合わせがあって意外と混乱しがちです。今回は、ホイール・スプロケットの規格から、スプロケットとホイールの互換をわかりやすく、覚えやすく解説します。
ギアキャパシティの互換性
ロード用スプロケットとMTB用スプロケットの互換性を考える上で最大の障壁が「ギアキャパシティの互換性」です。
自転車の変速パーツには「変速段数」だけでなく「リアディレイラーのキャパシティの違い」があります。
「ギアキャパシティの互換性」は、スプロケットの「ロー最小・最大歯数」「トップ最小・最大歯数」「ドライブトレイン全体での歯数」などで、簡単にいうと「そのリアディレイラーが対応するスプロケットの歯数構成」です。
例えば、同じ11速でも、シマノのロード向けのリアディレイラー・RD-R7000-GSはトップ最大が11T、ロー最大が34Tなので、MTB向けの11速スプロケットである「CS-M9001(10-45T、10-51T)」や「CS-M5100-11(11-51T、11-42T)」は使えません。
逆にシマノのMTB向けのリアディレイラー・RD-M5120-SGSは、ロー最小が42Tとなっているため、ロード向けスプロケットは使えません。
そのため、スプロケットが取り付けできたとしても、「ディレイラーが歯数に対応していないと、変速ができない(もしくは変速性能が極端に落ちる)」ことになります。
変速テクノロジーの互換性
コンポーメーカー各社には「変速テクノロジー」というものがあります。シマノで言えば「HYPERGLIDE」や「LINKGLIDE」、SRAMで言えば「X-SYNC」や「PowerGlide」などです。
スプロケットは、これらの変則テクノロジーを構成するパーツの一つでスノで、同じテクノロジーのパーツで変速システムを組むのが基本です。そのため、同じシマノのスプロケットでも「HYPERGLIDE」スプロケットと「LINKGLIDE」スプロケットには、シマノの公式互換がありません。
ただし、異なるテクノロジーのパーツを組み合わせると全く変速できないのかと言われると、実は動くケースもあります。例えば、シマノのMTBコンポ(HYPERGLIDE)とSRAMのMTB用スプロケット(PowerGlide)を組み合わせても変速が動くケースもSNSなどで多数報告されています。
同様に、フリーハブとリアディレイラーのキャパシティがあっていれば、例えばロード用コンポーネントにMTB用のスプロケットを使うこともできなくはないということになります。
もちろん、お互いのメーカーにとって公式互換外の組み合わせですので、変速性能は落ちてしまう可能性がありますが、「公式互換外」かつ「変速性能が落ちる可能性」を許容できるのであれば、ロード用スプロケット、MTB用スプロケットを気にせずに組み合わせて使うことは可能です。