混乱しやすいシマノのスプロケットとホイールの互換性をわかりやすく解説

更新日: 2023年3月15日

公開日: 2020年12月28日

どのホイールがシマノのどのスプロケットに互換するのか、いろんな組み合わせがあって意外と混乱しがちです。今回は、ホイール・スプロケットの変遷をみていくことで、スプロケットとホイールの互換をわかりやすく、覚えやすく解説します。

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対応スプロケットから見たホイールの種類

対応スプロケットからホイールを選んでいくと、いくつか種類があることがわかります。

これまでは、ホイールの種類は大きく分けて5つでしたが、2021年9月に新DURA-ACE・R9200系が発表され、ロードの12速専用ホイールが登場したため、現在では、

  • 12速ホイール(MTB向け・MICRO SPLINE)
  • 12速ホイール(ロード向け)
  • 11速ホイール
  • 10速ホイール
  • 8/9速ホイール
  • 7速ホイール

の6種類になっています。

それぞれ特徴があるので、詳しく見ていきましょう。

ホイールの種類と互換スプロケット

シマノのロード向けコンポーネントでいうと、スプロケットの厚み(高さ)は、

12速 = 11速 > 9速 = 8速 > 10速 > 7速

となります。

段数の順番通りじゃないので少し混乱しますが、「10速だけ一つ小さい、あとは段数の順番通り」と覚えると覚えやすいです。なお、12速については特殊な仕様になっています。

また、シマノのMTB向け11速についてスプロケットは、スプロケットの厚みはロード向け11速と同様ですが、9・10速ホイールに互換させるためにローギアがスポーク側にせり出す仕様となっているため、互換性が異なります*1

互換性が広かった8・9・10速時代

ここからが混乱しがちなところなのですが、スプロケットの段数は上位グレード・新しい製品になるほど段数が増えます。しかし、先ほどみてきた通り、スプロケットのサイズで見てみると必ずしもそうなっていません。

なぜこんなことが起きるかというと、

  1. 8速から9速のアップグレード時にスプロケットの幅が維持された
  2. 10速化した時にスプロケットの幅を狭くなった

ことが要因です。

ですので、世の中の8速ホイール、9速ホイール、10速ホイールは、「8速、9速、10速の全てに互換性がある」可能性が高くなります。特に、中古でホイールを探す場合、メーカーの汎用ホイールは最大段数が10速の場合は、8速、9速、10速の全てに互換していることがほとんどです。

一部にある10速専用ホイール

先ほど「互換性がある可能性が高くなる」と書いたのはここが要因です。

あまり普及はしませんでしたが、世の中には「10速専用ホイール」というのがあります。ここまで見てきた通り、10速スプロケットは8速よりも幅が小さく、7速よりも幅が大きいので、このホイールに互換性があるのは「10速スプロケットだけ」になります。

「10速ホイールは8・9速にも対応しているから、10速専用ホイールでも8・9速が使える」と勘違いしないように注意が必要です。

ほとんどのスプロケットと互換する11速ホイール

数年前まで最上グレードの変速数だった11速のホイールは現在市場に一番流通しているホイールでしょう。11速ホイールは、7速から11速までの全てのスプロケットに互換します。(11速以外はスペーサーが必要)

ただし、一部のMTB用11速フリーハブ(FH-M9010など)が搭載されたMTB向けの11速ホイールは、フリーハブが9・10速と同じになっているため、ロード用の11速スプロケットは使うことが出来ません。

2021年9月に発表されたシマノのロード12速スプロケットは、11速フリーボディにも対応する設計となっているため、11速ホイールは12速スプロケットにも対応します。もう一つのシマノの12速スプロケットであるMTB向けのスプロケットは、11速ホイールとは互換性がありません。

完全に別互換になった12速ホイール

シマノのコンポーネントが12速化した際に、スプロケットを取り付けるフリーボディの仕組みが変更され、スリットの数が増えています。そのため、一部を除いて、シマノ12速ホイールは11速以下のスプロケットと互換性がありません。

また、シマノの12速スプロケット対応ホイール同士でも、ロード向け12速とMTB向け12速「MICRO SPLINE」でフリーボディの形状が異なっている(スリットの本数が違う)ため、ロード向けとMTB向けでは互換性はありません。

上記のMTB向けフリー規格「MICRO SPLINE」を紹介するシマノの公式動画では、カセットと接続するスリットが細くなり、スリット数が23本に増えていると解説されています。(従来は9本、ロード向け12速は18本)

なお、先程の「一部のホイール」に当たるのが、シマノの新ULTEGRAのホイール・WH-R8170シリーズで、このホイールは12速と11速のスプロケットに対応しています。同時期に発売された、新DURA-ACEのWH-R9200シリーズは12速専用です。

ロード向け12速スプロケットは、11速ホイールで利用可能

シマノの12速スプロケットは、

  1. CS-R9200(ロード向け)
  2. CS-R8100(ロード向け)
  3. CS-M9100(MTB向け)
  4. CS-M8100(MTB向け)
  5. CS-M7100(MTB向け)

の5種類があります。このうち、MTB系の12速スプロケットは「MICRO SPLINE」を採用しているため、11速以下と互換性がありません。

一方で、ロード向けの12速スプロケットである「CS-R9200-12(DURA-ACE)」「CS-R8100-12(ULTEGRA)」は、12速フリーボディだけでなく従来の11速ホイールのフリーボディとも互換性があると、シマノの公式サイト上にも記載されています。

CS-R9200-12 | シマノ

CS-R8100-12 | シマノ

スプロケットの分解画像を見ると、ロックリングこそスリットが従来の形式ですが、歯の方には18本のスリットが入っていることがわかります。

歯側はスリットが多いCS-R9200-12(画像:シマノ公式)

スリットの数が違うため、ロード向け12速のスプロケットやホイールは、MTB系のMICRO SPLINEホイール・スプロケットとは互換性がないと思われます。

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ロードとMTBのスプロケットの互換性

シマノのロードバイク向けスプロケットと、MTB向けスプロケットは、11速まではフリーボディの仕様が同じため、同じ変速数同士であればスプロケットを取り付けることが出来ます(一部のMTB・11速スプロケットを除く)。実際に、シマノの一部のスプロケットはロードとMTBの共用となっています。

ただし、スプロケットが取り付けできたとしても、リアディレイラーのキャパシティに違いがあるため、ドライブトレイン全体として互換性があるとは限りません。

例えば、同じ11速でも、ロード向けのリアディレイラー・RD-R7000-GSはトップ最大が11T、ロー最大が34Tなので、MTB向けの11速スプロケットである「CS-M9001(10-45T、10-51T)」や「CS-M5100-11(11-51T、11-42T)」は使えませんし、逆にMTB向けのリアディレイラー・RD-M5120-SGSは、ロー最小が42Tとなっているため、ロード向けスプロケットは使えません。

その意味では、ロード向けのスプロケットとMTB向けのスプロケットで互換性があるのは「10速まで、かつリアディレイラーのキャパシティ範囲内のもののみ」と言えます。

互換性が特殊なMTB向けの11速スプロケット

先程「一部のMTB・11速スプロケットを除く」としたMTB向けの11速スプロケットは、現行モデルで言えば、

  1. CS-M9001
  2. CS-M8000
  3. CS-M7000-1
  4. CS-M5100-1

の4種類で、9・10速向けフリーハブに取り付けが可能な11速MTBスプロケットです。

MTB 11スピードホイールとフリーハブは、10、9スピードフリーハブと同じスプライン形状です。

MTB 11スピード用フリーハブの互換性(C-253) | シマノ

上記シマノの互換PDFの図解にもありますが、MTBの11速はローギアがスポーク側にせり出す形になっているため、9・10速ホイールでも11速が使用可能になっています。

ホイールとスプロケットの互換表

ここまで見てきたホイールとスプロケットの互換性を表にしてみてみましょう。必要なスペーサーも同時に記載します。

ホイール/スプロケット 7速 8速 9速 10速 11速 11速(MTB) 12速(MTB) 12速(ロード)
7速ホイール x x x x x x
8速ホイール
(4.5mmスペーサー)

(1.00mmスペーサー)
x x x
9速ホイール
(4.5mmスペーサー)

(1.00mmスペーサー)
x x x
10速汎用ホイール
(4.5mmスペーサー)

(1.00mmスペーサー)
x x x
10速専用ホイール x x x x x x
11速ホイール
(4.5mm+1.85mmスペーサー)

(1.85mmスペーサー)

(1.85mmスペーサー)

(1.85mmスペーサー + 1.00mmスペーサー)
x x
12速専用ホイール(MTB) x x x x x x x
12速専用ホイール(ロード) x x x x x x x
11/12速ホイール(WH-R8170) x x x x x x

段数ホイールによってフリーボディのサイズや形状が異なるため、スプロケットを装着する際のスペーサーにも違いがあることがわかります。

ホイールとスプロケットとスペーサー

11速ホイールは全てに対応しますが、11速スプロケット以外はスペーサーが必要です。一方で、8〜10速ホイールは7速・10速以外はスペーサーが不要です。10速専用ホイールは10速しか使えませんので、当然スペーサーは不要です。

完成車ホイールのどう見分ければいい?

完成車のホイールは、メーカー側が「XX速対応ハブ」などと書いてくれれば対応段数がわかりますが、書いていない場合は、「現在のスプロケットとスペーサーの有無」を確認すれば、対応するスプロケットの段数がわかります。

7速完成車の場合

7速完成車の場合は、11速までのスプロケットの中で一番小さいスプロケットを装備しているので、その他の段数に対応することはほぼありません。

例外としては、8〜10速向けのホイールを流用している場合は、4.5mmスペーサーが入っているはずなので、スペーサーがあれば8・9・10速に対応します。

8・9速完成車の場合

入門向けのCLARIS、SORAグレードの完成車のリアホイールに1.85mmスペーサー付きでスプロケットが装着されていれば、そのホイールは11速までの全ての段数に対応します。

スペーサーがなければ8・9・10速に対応します。

10速完成車の場合

ミドルグレードのTIAGRAグレードの完成車でホイールにスプロケットがスペーサーがなしで装着されていた場合は、10専用ホイールなので、8・9速では使えず、10速でしか使えません。

一方で、1.00mmスペーサーのみが入っていた場合は、8・9・10速が、1.0mm+1.85mmスペーサーが入っていた場合は、11速までの全てのスプロケットが使えます。

MTBの10速完成車については、フリーハブが8・9・10速向けであればMTB向けの11速スプロケットが使用可能です。

11速完成車の場合

11速完成車の場合は、11速は全てのスプロケットの中で一番幅が大きいので、スペーサーを使えば全てのスプロケットが使えるホイールになります。ただし、先述した通り、MTB向けの11速ホイールは仕様が異なるため、ホイールに使われているハブの仕様を確認する必要があります。

現行の11速は105グレード以上なので、そこの完成車から10速以下の下位グレードに落とすことはほぼないかと思いますが、中古などで完成車外しのホイールを購入する場合は注意が必要です。

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