ホイールの精度を高めるための専用ツールが自転車のホイール振れ取り台・調整ツール。振れ取り台の選び方や主なメーカーの振れ取り台をまとめました。
旧ETRTOと何が違う?新ETRTO規格の解説と選ぶ際のポイント
更新日: 2022年10月20日
公開日: 2021年11月1日
タイヤのサイズを選ぶ際の基準となっているのがETRTO規格。2020年に新しい規格が制定され、一部のタイヤでは新ETRTO規格での設計がスタートしています。今回は、旧ETRTO規格と新ETRTO規格の違いや、新ETRTO規格のタイヤを選ぶ際のポイントをまとめました。
この記事の目次
スポンサーリンク
ETRTO規格とは?
ETRTO(エトルト)規格は、「European Tyre and Rim Technical Organisation(ETRTO:欧州タイヤ・リム技術機構)」が定めたタイヤとリムに関する標準規格です。
ロードバイクなどの自転車タイヤを選ぶ際には、
- 700 x 25C(フレンチサイズ)
- 27.5 x 1.50(インチサイズ)
という二つのサイズ表記がされることが多いですが、ユーザーにとってはどのホイールにどのタイヤが適合するのかがわかりづらい、また想定するリム内幅次第で装着した時の実際のタイヤ幅が変わってきてしまうというデメリットがありました。
そこで、これらの統一するために利用されているのが「ETRTO規格でのサイズ表記」というわけです。
フレンチサイズにしてもインチサイズにしても、基本的にはタイヤの外周を基準にサイズ表記をしますが、ETRTO規格はタイヤとリムの接点であるリムの内周のサイズで規格表記をします。ETRTO規格では、700Cは「XX-622」、650Bは「XX-584」となります。
最近のスポーツ自転車向けのタイヤ・ホイールは、ETRTOでのサイズ表記を表記するのが標準で、例えばシマノの新105のホイールである「WH-RS710」のシマノ公式スペックを見ると、「タイヤ推奨サイズ:25-622 - 32-622」と、フレンチサイズではなくETRTOでサイズ表記しています。
これまでのETRTO規格と新ETRTO規格の違い
これまでのETRTO規格はホイール・リムの内幅(内側の幅)が15mmを基準として、タイヤ外周や太さがどれくらいになるかを定めていました。
しかし、ここ数年でロードバイク向けホイールのワイドリム化が進み、徐々に15mmよりも太い17mm幅が標準になってきました。
例えば、シマノのエントリー向けホイールの現行モデルである「WH-RS100」はホイールサイズがリム幅17mmの「17-622(622 x 17C)」ですが、一つ前のWH-RS010はホイールサイズがリム幅が15mmの「15-622(622 x 15C)」です。
ロードバイクタイヤのワイド化が年々進む中で、ロードバイクホイールのワイドリム化もまだまだ進んでいて、2022年頃からは旧ETRTOが想定する15mmよりも4mmも太い19mm内幅や、グラベルロードなどでは内幅23mmというホイールも増えてきています。
そこでホイールの現状に合わせた新しい規格として出てきたのが新ETRTO規格です。新ETRTO規格では、25~28Cのタイヤホイールのリム幅を19mmで設定するようになっています。
基準のリム幅が変わるとタイヤ幅にどう影響する?
同じサイズのタイヤでも、実はタイヤの幅はリムの幅によって実際の幅が変わります。具体的には、「ホイールのリム内幅が2mm変わると、実際のタイヤ幅は1mm変わる」と言われます。
具体的に見てみると、新ETRTO規格で「25-622(700x25C)」サイズで設計されたタイヤをリム内幅17mmのホイールに装着すると、「(新ETRTOが想定する内幅19mmリムよりも)リム内幅が2mm狭いため、タイヤの幅は1mm狭くなる」ということになります。つまり、実際にホイールにタイヤを装着するとメーカー表記よりもタイヤ幅が1mm細い「24mm幅」になるというわけです。
同様にリム内幅が15mmのホイールの場合は、新ETRTO規格の25Cタイヤは23mm、つまり旧ETRTOの23Cタイヤと同じタイヤ幅になるというわけです。
旧ETRTO規格と新ETRTO規格の互換性は?
旧ETRTO規格であっても、新ETRTO規格であっても、基本的にはタイヤの内周がホイールの規格に合っていれば問題なく使えます。例えば、ロードバイク向けの700Cタイヤであれば、ホイールの内周は622で、新ETRTO規格でもその点は同じです。
一方で、違いがあるのは太さで、「このタイヤのサイズは新ETRTO規格です」と書いてある場合は、ホイールのリム内幅が19mmの時のサイズ(タイヤ幅)であることに注意して、先程の「ホイールのリム内幅が2mm変わると、実際のタイヤ幅は1mm変わる」という計算をしながら、装着時のサイズを選べば問題がありません。
スポンサーリンク
これからタイヤを買う時の注意点
新ETRTO規格の表記に注意すれば問題なし
タイヤメーカーは、タイヤサイズの基準として新ETRTO規格を使っている場合は、メーカーの公式商品ページに「新ETRTO規格に準拠」という文言を入れています。逆に、この文言が入っていなかったら、旧ETRTO規格のタイヤだと考えて良いでしょう。
新ETRTO規格は2020年に出てきた規格なので、それ以降に開発・設計されたタイヤは新ETRTO規格に準拠していることが多いですが、それ以前から発売されているタイヤは、基本的にはこれまでの旧ETRTO規格の場合がほとんどです。
これまで使っているタイヤをそのまま新調するなら、新ETRTO規格を意識する必要はないことがほとんどでしょう。
15Cリムのホイールでも新ETRTO規格のタイヤは装着できる
新ETRTO規格になってもタイヤの内周は同じですから、少し古いリム内幅15mmのホイールでも新ETRTO規格のタイヤを問題なく装着することができます。
ただし、新ETRTO規格で設計された25Cのタイヤを15mm内幅リムのホイールで装着する場合「(新ETRTOの基準が内幅19mmリムなので)リム内幅が4mm減って、タイヤ幅が2mm減る」ため、23Cサイズとなります。このように、自分でタイヤ幅とリム内幅の関係性を計算して選ぶようにすれば問題ありません。
ホイールのリム内幅は「XX C」や「C XX」もしくは「リム内幅XXmm」と表記されるので、ホイールを買う際にも注意して選ぶと良いでしょう。
C17? C15? 自転車ホイールの商品名の「C+数字」の意味は?
メーカーによっては、自転車ホイールの商品名にC15やC18といった「C+番号」形式が入っていることがあります。今回は、ホイールの「C+番号」について解説します。
メーカー独自でタイヤ幅を規定している場合も
ETRTO規格は「旧規格が内幅15mmリム、新規格が内幅19mmリムを基準にしている」というお話をしましたが、実はタイヤメーカーによっては独自設計をしている場合もあります。
例えば、ヴィットリアの普及グレードのロードタイヤ「P ZERO ROAD」は旧ETRTO規格でも新ETRTO規格でもない、「17Cリムを基準に設計」としています。
「P ZERO ROAD」は、
- 700x24C
- 700x26C
- 700x28C
の3サイズ展開がありますが、例えば700 x 24Cタイヤは、内幅19mmリムのホイールなら「(P ZERO ROADは内幅17mmリム想定なので)リム幅が2mm増えて、タイヤ幅が1mm増える」ので25C、内幅15mmリムホイールなら「リム幅が2mm減るので、タイヤ幅も1mm減る」ので23Cということになります。