シマノのロードバイク、MTB、クロスバイク用コンポーネントで採用されているチェーンの互換性を解説。チェーンの選び方について解説します。
ロードバイクのチェーンリングを交換するメリット・デメリット
公開日: 2023/12/21
スプロケットの交換と比較するとメジャーではない、ロードバイクのチェーンリング交換。交換するメリット・デメリット、スプロケット交換とどこが違うのかを解説します。
この記事の目次
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ロードバイクのチェーンリングを交換するメリット
段数ごとのギア比差をそのままにギア比を変えることが出来る
ロードバイクの走行速度は「ギア比 x クランク回転数 x タイヤ周長」で決まります。この中では一番カスタマイズしやすいのがギア比です。
ギア比は「フロントチェーンリングの歯数 / リアスプロケットの歯数」で決まります。つまり、フロントチェーンリングを交換すると、ロードバイクにおけるギア比の「分母」を変えることが出来ることになるため、全体のギア比を大きく変えることが出来るのです。
ギア比の変更というとスプロケットの交換が定番ですが、ギア比全体を重く・軽く変えたい時は、実はチェーンリングの交換が効果的です。
フロントが52/36Tのクランク、リアが11/28Tのスプロケットの11速のケースを例に、どれくらい違いがあるか見てみましょう。
まずは、リアをワイドレシオな11-34Tのスプロケットに交換したとします。この時、このロードバイクのギア比は以下のようになります。
フロント | リア | 11-28T時のギア比 | 11-34T時のギア比 |
---|---|---|---|
アウター | 11 | 4.73 | 4.73 |
アウター | 10 | 4.33 | 4.00 |
アウター | 9 | 4.00 | 3.47 |
アウター | 8 | 3.71 | 3.06 |
アウター | 7 | 3.47 | 2.74 |
アウター | 6 | 3.06 | 2.48 |
アウター | 5 | 2.74 | 2.26 |
アウター | 4 | 2.48 | 2.08 |
アウター | 3 | 2.26 | 1.93 |
アウター | 2 | 2.08 | 1.73 |
アウター | 1 | 1.86 | 1.53 |
インナー | 11 | 3.27 | 3.27 |
インナー | 10 | 3.00 | 2.77 |
インナー | 9 | 2.77 | 2.40 |
インナー | 8 | 2.57 | 2.12 |
インナー | 7 | 2.40 | 1.89 |
インナー | 6 | 2.12 | 1.71 |
インナー | 5 | 1.89 | 1.57 |
インナー | 4 | 1.71 | 1.44 |
インナー | 3 | 1.57 | 1.33 |
インナー | 2 | 1.44 | 1.20 |
インナー | 1 | 1.29 | 1.06 |
一番軽いギア比はアウター/トップで数値は同じですが、一番軽いインナー・ローの時のギア比が1.06になり、より軽くなります。そして、全体的にギア「おそよ1段分が軽く」なりますが、その代償としてリア段数ごとのギア比差が大きくなっています。
次にフロントチェーンリングを52/36Tに交換したケースをみてみましょう。
フロント | リア | 52/36T時のギア比 | 50/34T時のギア比 |
---|---|---|---|
アウター | 11 | 4.73 | 4.55 |
アウター | 10 | 4.33 | 4.17 |
アウター | 9 | 4.00 | 3.85 |
アウター | 8 | 3.71 | 3.57 |
アウター | 7 | 3.47 | 3.33 |
アウター | 6 | 3.06 | 2.94 |
アウター | 5 | 2.74 | 2.63 |
アウター | 4 | 2.48 | 2.38 |
アウター | 3 | 2.26 | 2.17 |
アウター | 2 | 2.08 | 2.00 |
アウター | 1 | 1.86 | 1.79 |
インナー | 11 | 3.27 | 3.09 |
インナー | 10 | 3.00 | 2.83 |
インナー | 9 | 2.77 | 2.62 |
インナー | 8 | 2.57 | 2.43 |
インナー | 7 | 2.40 | 2.27 |
インナー | 6 | 2.12 | 2.00 |
インナー | 5 | 1.89 | 1.79 |
インナー | 4 | 1.71 | 1.62 |
インナー | 3 | 1.57 | 1.48 |
インナー | 2 | 1.44 | 1.36 |
インナー | 1 | 1.29 | 1.21 |
チェーンリングを交換することで、全体のギア比が小さくなりましたが、スプロケットの歯数構成が同じため、段数ごとのギア比差は大きくなっていません。逆に、スプロケットをワイド化した時ほど、ギア比の選択肢は増えないという特徴があります。
チェーンリングが摩耗していた場合、交換でチェーン落ちを改善できる
ロードバイクではフロントとリアの二つの変速機能があることが多いですが、リアよりもフロントの方がチェーン落ちが起きやすくなります。
チェーン落ちの要因は様々ですが、摩耗したチェーンリングを使っていると、チェーンがチェーンリングの歯からこぼれることが多くなり、チェーン落ちを誘発します。
フロントでチェーン落ちが多発する場合、チェーンリングが摩耗しているのであれば、交換することで改善することができます。
若干の軽量化ができる
チェーンリングを交換する際に、一つ上のグレードのチェーンリングを組み合わせる、もしくは小さいギアに交換すると、若干ですが軽量化が可能です。
例えば、シマノのULTEGRAクランクにDURA-ACEのチェーンリングを取り付けたり、先ほどのように52/36Tのチェーンリングを50/34Tに交換すると若干ですが軽量化できます。
軽量化効率は大きくはないですが、ギア比を軽くするためにスプロケットをワイド化する場合は、逆に50g程度重量がアップしてしまうので、軽量化にこだわっている方は、スプロケットをワイド化するよりもチェーンリングの交換をした方が良いでしょう。
チェーンリングを交換するデメリット
交換費用が高い
リアスプロケットは安ければ数千円程度で交換が可能ですが、チェーンリングはセットで1万円以上することが多く、交換費用は高くなります。
気軽に交換ができない
リアスプロケットの交換はホイールを取り外して専用工具を使えば比較的簡単に、素早く交換可能ですが、フロントチェーンリングを交換する際は、構造的にクランクを一度BBから取り外す必要がある(外さないで交換できるケースもある)ため、交換が手間になります。
そのため、ホビーユーザーの場合は「走る道によってチェーンリングを交換する」というよりかは「脚力に合わせて全体のギア比を調整する」という使い方になります。
ギア比の選択肢を大きく増やすことができない
フロントチェーンリングを交換すると、段数ごとのギア比差を大きく変わらないというメリットはありますが、逆に言えばギア比のレンジ大きく変えることはできません。
スプロケットを交換すれば、坂道用にインナー・ローのギア比を1枚分軽くすることもできますが、チェーンリングを交換ではそこまで大きな変更はできません。