タイヤインサートとは何か?メリットとデメリット

最終更新日: 2023/07/07

公開日: 2023/01/19

チューブレスタイヤの普及と共に注目され、最近ではプロロードレースでの使用実績もあるタイヤインサートとは何か、使うメリット・デメリット、主なメーカーの製品をまとめて比較しました。

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タイヤインサートはチューブレスタイヤの中入れる緩衝材

タイヤインサートは、チューブレスタイヤの中に入れることで、タイヤが路面から受ける衝撃を吸収する緩衝材です。素材はメーカーにもよりますが、スポンジ状の筒をインナーチューブと同じように入れることで、路面からの衝撃からタイヤ、リムを守る効果があります。

実際のどのような仕組みになっているかは、下記の動画を見ると理解出来ます。

タイヤインサートはここ数年で、MTBやシクロクロス界隈で注目が高まっていましたが、最近ではロードレースにまで広がっており、最近では石畳を走るクラシックレース「パリ・ルーベ」などでプロチームでの使用実績があります。

タイヤインサートは「チューブレス」でのみ使うことが出来る

まず最初に知っておきたいのが、タイヤインサートはインナーチューブの代わりではないということです。そのため、使用するにはチューブレス環境(タイヤ、リムなど)が必須であり、クリンチャー環境では使うことが出来ません。

また、タイヤインサートを挿入した状態でチューブレスタイヤのビードを上げ、空気を保持するために、専用のバルブを使う必要があります。

タイヤインサートの寿命・交換時期は?

タイヤインサートの寿命・交換時期はメーカーによって異なりますが、タイヤインサートの主要メーカーであるTubolightの例では、

  1. グラベル/シクロクロス 新品タイヤ6本交換時
  2. クロスカントリー/マラソン 新品タイヤ3-4本交換時
  3. ダウンヒル/エンデューロ 新品タイヤ2-3本交換時

が寿命、もしくは交換目安の時期としています。

この寿命が長いと見ると短いと見るかは、乗り込み方にもよりますが、グラベル、シクロクロスでの用途であればコスパは悪くないでしょう。

タイヤインサートを使うメリット・デメリット

メリット

タイヤインサートを使う最大のメリットは、段差などの衝撃が加わりやすい道で、タイヤ・リムへの攻撃を緩和してくれる点です。

チューブレスタイヤは、チューブを除くことでリム打ちパンクなどの「チューブ由来のパンク」を排除しましたが、それでもタイヤ自体にパンクのリスクがありました。

MTBやシクロクロスなどの競技性の高いシーンでは、ルーティングや落車などでリムやタイヤに大きな衝撃が加わることがあり、そうした強い衝撃ではチューブレスタイヤでも、サイドウォールやホイールのリムがダメージが加わることがあります。

タイヤインサートはそうした「チューブレスタイヤの最後の弱点」を補うパーツです。

また、タイヤインサート自体がクッションの役割を果たしてくれるため、万が一チューブレスタイヤで空気が保持できないほどのパンクが起きてしまったとしても、タイヤインサートが空気の代わりにタイヤを保持してくれるため、そのまま走行が可能になります。

パンクしたままどこまでも走れるわけではないですが、メーカーによっては時速20kmで約50kmほど走行できるというたう製品があるほどです。

つまり「ある程度ならパンクしてもそのまま走ることが出来る」というわけです。

デメリット

タイヤインサートのデメリットは「コストがかかる」という点です。

まず、タイヤインサートを使うにはチューブレス環境が必要となるため、チューブレスタイヤ、チューブレスホイール、シーラントなどが必要となります。チューブレスバルブも専用品が必要になります。タイヤやホイールのグレードにもよりますが、全部を揃えると数万円はかかるでしょう。

コストという点では、タイヤインサート自体も実は高額なパーツです。メーカーにもよりますが、5,000〜10,000円くらいが実売価格のレンジ。ホイール1本あたり数百円だったインナーチューブやシーラントと比較すると非常に高額です。

また、タイヤインサートは頑丈そうに見えますが実は消耗品。メーカーによって新品タイヤ6本交換ほど持つとしていますが、ヘビーに乗り込む方は2年に一回くらいのペースで買い替えが必要となります。

主なメーカーのタイヤインサートを比較

最後に、主なメーカーのタイヤインサートを比較してみましょう。

製品名 メーカー 定価 対応タイヤサイズ 重量
AIR-LINER ROAD (Sサイズ)*1 Vittoria ¥5,280 700 x 23〜26C 24g
AIR-LINER ROAD (Mサイズ)*1 Vittoria ¥5,280 700 x 27〜29C 31g
AIR-LINER ROAD (Lサイズ)*1 Vittoria ¥5,280 700 x 30〜32C 39g
INNER SAVER AIR INSERT IRC ¥6,050 700 x 32〜33C 39g
ARMOUR TUBELESS (700C) Tannus ¥7,920 700 x 33〜47C 80g
ARMOUR TUBELESS (29") Tannus ¥7,920 29 x 2.1-2.6 160g
ARMOUR TUBELESS (27.5") Tannus ¥7,920 27.5 x 2.1-2.6 150g
Tubolight EVO ROAD *1 Tubolight ¥13,200 700 x 28〜34C 19g
Tubolight GRAVEL *1 Tubolight ¥13,200 700 x 28〜34C 32g
Tubolight EVO MTB SL (29")*2 Tubolight ¥7,700 29 x 2.2-2.4 60g
Tubolight EVO MTB SL (27.5")*2 Tubolight ¥7,700 27.5 x 2.2-2.4 60g
Tubolight EVO MTB HD (29")*2 Tubolight ¥7,700 29 x 2.35-2.8 90g
Tubolight EVO MTB HD (27.5")*2 Tubolight ¥7,700 27.5 x 2.35-2.8 87g

*1 1本セット、専用チューブレスバルブ1本付属 *2 2本セット、専用チューブレスバルブ2本付属

AIR-LINER ROAD (Vittoria)

世界的タイヤメーカーVittoriaのロードバイク向けタイヤインサート。3サイズ展開で、700 x 23〜32Cまで対応するためサイズが合えばグラベルやシクロクロスでも使用可能です。

価格も専用のチューブレスバルブが付属して5,000円台と非常に良心的です。

INNER SAVER AIR INSERT (IRC)

日本メーカーであるIRCが手がける「チューブラーの性能に肉薄」を謳い文句にした、シクロクロス向けタイヤインサート。シーラントが必要なチューブレス・レディだけでなく、シーラントが不要なチューブレスにも対応しています。

サイズ展開が少ないのと、専用のチューブレスバルブが別売りなのが残念なポイントです。

ARMOUR TUBELESS (Tannus)

「パンクしないタイヤ」を手がけるTannusのタイヤインサート。ロード向け700Cだけでなく、MTB向けもラインアップ。インサートのみの価格となるため、価格はやや高めです。

Tubolight

イタリアのRusty s.r.l.が展開する、世界最軽量タイヤインサートブランドがTubolight。700C向けのTubolight EVO ROADは1本わずか19gともはや誤差範囲のような重量です。

ラインアップも非常に豊富で、ロード向けだけでなくグラベル向け、MTB向けもラインアップ。しかも、専用チューブレスバルブもセットされているので非常にコスパが高くなっています。

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