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フックレスリムとは?メリット・デメリットと選ぶ際の注意点
最終更新日: 2022/11/30
公開日: 2022/11/11
軽量でコスパが高いホイールが多い「フックレスリム」ホイール。フックレスとは何か?フックレスのメリット・デメリット、そして選ぶ際の注意点をまとめました。
この記事の目次
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フックレスリムとは?
通常ホイールのリムには、タイヤを嵌め込むためのフックが存在します。
リムフックは、リムからタイヤが外れてしまうのを防ぐためにタイヤのビードを引っ掛けるための構造で、これまでのクリンチャー、チューブレスホイールではリムフックがあるのが通常でした。
ここ数年でチューブレスタイヤが普及したことで登場したのがフックレスリムです。その名の通り「フックがないリム」で、リムのタイヤ接触面が垂直になっています。
フックレスリムの規格(TSS)
フックレスリムにはフックがなくてもしっかりとタイヤを保持するために共通規格があります。フックレスの規格はタイヤ・リムの欧州規格であるETRTOで規定されています。
旧ETRTOと何が違う?新ETRTO規格の解説と選ぶ際のポイント
タイヤのサイズを選ぶ際の基準となっているのがETRTO規格。2020年に新しい規格が制定され、一部のタイヤでは新ETRTO規格での設計がスタートしています。今回は、旧ETRTO規格と新ETRTO規格の違いや、新ETRTO規格のタイヤを選ぶ際のポイントをまとめました。
ホイールリムのETRTO規格は、
- リム直径サイズ
- チューブレスであるか
- フックレスであるか
で3つの要素で構成されます。
リム直径サイズはETRTOサイズで、700Cのホイールなら622mm、650Bなら584mmで、ここにリムの内幅を合わせて表記します。例えば「622x23」ならリム内幅23mmの700Cホイールということになります。
次にチューブレスリムの場合は、通常のフックありリムを「Tubeless Crochet」のTC、フックレスを「Tubeless Straight Side」のTSSで表記します。例えば、622-23-TSSなら、チューブレスかつフックレスなリムということがわかるわけです。
フックレスなホイールの場合、ホイールのリム、もしくはメーカースペックにTSSの表記があることがほとんどなので、ETRTOのフックレス規格に基づいているかはTSSの有無で判断することが出来ます。
なお、全てのメーカーがチューブレスのリム規格を表記しているわけではなく、古いチューブレスホイールだとリムにTCの表記がない場合もありますが、明確にTSSと表記がなければ基本的にはフックド・リムだと思って良いでしょう。
フックレスリムのメリット
フックレスリムの主なメリットは「ホイール自体のメリット」と「装着するタイヤ側のメリット」の二つの種類があります。
ホイール側のメリット
- 価格が安くなる
- 軽量化が出来る
まず、リムにフックを入れないため、リムの製造工程がシンプルになり価格が安くなります。特にカーボンホイールの場合、ディスクブレーキでフックレスとなると、リムブレーキのカーボンホイールよりもかなり製造工程がシンプルになるようです。
また、当然ですがフックの分だけ軽量になります。ただし、これはディスクホイールのみで、リムホイールの場合はリム面に熱対策の加工が必要なため価格は高めです。
装着するタイヤ側のメリット
次に装着するタイヤ側にもメリットがあります。
- チューブレスタイヤとリムの密着性が高まる
- エアボリュームが増える
- リム内幅が広がるためタイヤの変形量がへり、剛性が上がる
チューブレスタイヤの場合、タイヤとリムの密着度合いによって、空気をどれくらいしっかり保持できるかが決まります。フックがあると空気を閉じ込める接点が細いフック部分になるため、密着度が落ちてしまいます。
そのため、チューブレスタイヤでは「シーラントを注入してもエア漏れが発生してしまう」ケースがありますが、フックレスにすることでタイヤはリムの壁と密着するためエア漏れが軽減されます。
そして、フックの分リムの内幅が広くなるため、タイヤの変形量が減ることでタイヤの剛性が上がります。そして、タイヤの内幅が広がるということは、タイヤ内部の容積が増えるということですから、エアボリュームも増やすことが出来ます。
同じタイヤサイズでもエアボリュームが多いと、より低圧運用が可能になり、乗り心地がよくなります。
フックレスリムのデメリット
メリットばかりのように思えるフックレスリムですが、デメリットもあります。
- 基本はチューブレス専用
- 細いタイヤに対応していないことがある
- クリンチャーと比較して低圧
- フックレス対応タイヤが必要
まずは、基本は全てチューブレス専用になるという点。Mavicのように「フックレスだけどクリンチャーもOK」というメーカーは稀で、基本的には「パンクなどの緊急時以外はチューブを入れて走行しないこと」というメーカーが多くなります。
また、リムの内幅が増えるため、適合するタイヤサイズが太くなります。フックレスリムホイールの場合は、28C以上のタイヤを推奨しているケースが多く見られます。
最後が対応タイヤと空気圧。
フックレスリムは、これまでのリムと構造が違うため、リム側とタイヤ側のどちらも新ETRTO規格に正確に合わせて製造されている必要があります。
例えば、PanaracerのAgilest TLRは、メーカー側が細かくリム側の規格と適合するタイヤサイズを公表しています。
AGILEST TLR をフックレスリムとの組み合わせでご使用予定の皆様へ | Panaracer
フックレスはフックがない分、ETRTOに適合していない場合は安全性が落ちてしまうため、しっかりと適合するかをチェックしましょう。
また、フックレスリムでは、ホイール側が規定する最大空気圧がクリンチャーに比べて低めになっています。ただ、チューブレスタイヤで使うと考えたらむしろ低めにすることが多いため、あまり大きな問題ではないかもしれません。
フックレスリム・ホイールの選び方
クリンチャーに対応しているかは必ずチェックしよう
チューブレスで運用したとしても、出先でパンクしたり、エア漏れが発生した際は、最終手段としてはチューブを入れてクリンチャーとして乗って帰ってくる可能性は0ではありません。
そう考えると、フックレスリムでもクリンチャーとして使えるかどうかは大きなポイントです。ほとんどのメーカーは、「常用しなければOK」としていますが、購入前にしっかりとチェックしましょう。
ホイールの対応タイヤサイズが自分のバイクに合うかをチェックしよう
ホイールを買う際は、自分の好みのタイヤを装着できるかを確認する方がほとんどかと思いますが、フックレスリムの場合、ワイドリムになっていて最低タイヤサイズが太めのケースが多くなります。
最近のディスクブレーキロードバイク、グラベルロードバイクなら、タイヤクリアランスは32〜38Cほど取られていることがほとんどなので、多くのバイクが問題かと思いますが、買ってから使えなかったでは済まないので念の為確認しましょう。
有名メーカーのホイールを選ぼう
フックレスリムは市販ではまだまだ登場したての製品なので、まずは有名メーカーの製品を選ぶのがオススメです。フックレスリムホイールを手がけているメーカーでは、
- Mavic
- ZIPP
あたりを選んでおけば安心です。