MTBやクロスバイクで使われるフラットバー用ブレーキレバーには種類がありそれぞれ違いがあります。今回は、フラットバー用ブレーキの違いと選び方をまとめました。
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トルクレンチとは何か?トルク管理をするメリットとデメリット
公開日: 2023年1月6日
ロードバイクやMTBの整備をしっかりと行うならあると便利な工具が「トルクレンチ」。トルクレンチとは何か、トルク管理をするメリットとデメリットをまとめました。
この記事の目次
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「トルク」とは何か?
ロードバイクやMTBの整備でよく聞かれるのが「トルク」という単語。トルクとは「ねじりの強さ」で、ボルトやネジを締め付ける際の力の強さのことです。
トルクの単位はN・m(ニュートンメートル)で表され、スポーツ自転車のパーツや説明書には、取り付けの際の締め付けトルクの指定があります。
トルクレンチとは、トルク管理が出来るレンチのことです。
トルクレンチの機能と種類
一言に「トルクレンチ」と言っても種類がたくさんあります。機能面で見ると大きく分けて三つの点で違いがあります。
- 指定トルクで空転する / トルク値を測定するだけ
- トルク値を変更可能 / トルク値が固定
- 測定方法がアナログ / デジタル
まず大きな違いが指定トルクになった際の挙動で、高価なトルクレンチであれば、指定トルクになったらピットが空転する安全機構が備わっていて、確実に指定トルクで締め付けが出来ます。空転機能がない、単純に計測するだけのトルクレンチは安いですが、加減によっては指定トルク以上に締めてしまう可能性があります。
また、トルク値の設定が可能なものと可能でないものがあります。整備用のトルクレンチは細かくトルク値を変更できるものがほとんどですが、携帯用のトルクレンチに多いのが、5nmなどの製品に設定されたトルクで空転するタイプ。小型で携帯には便利ですが、細かいトルク管理が出来ません。
最後に測定方法の違い。ほとんどのトルクレンチはアナログでトルク値を設定しますが、中にはデジタルで現在のトルク値を表示して、設定トルク値になったらビープ音で知らせるモデルもあります。
どのトルクレンチを選ぶかは用途や、求める整備の精度によって異なるため、予算と相談しながら最適なものを選ぶことになります。
トルクレンチとトルクスレンチの違い
同じような名前のレンチに「トルクスレンチ」というのがありますが、これは全く別物です。
先程解説した通り、トルクレンチの「トルク」は締め付けの強さを意味しますが、トルクスレンチの「トルクス」はアメリカのテキストロン・カムカー社が開発した六角星型のねじ頭の規格です。
トルクスはネジ頭が星形になっているのが特徴で「星形ネジ」などと呼ばれます。
ですので、ロードバイクやMTBで締め付けトルクを管理をするために、トルクスレンチは使うことが出来ません。
逆に、トルクレンチは、ピットが交換出来るタイプであれば、トルクスピットを用意すればトルクスネジの締め付けトルクの管理が出来ます。
トルク管理をするメリット
トルク管理をするメリットは、パーツの締め付けを最適化出来る点です。
各パーツにはメーカーが推奨する最適なトルク値が設定されていますが、この設定値は「パーツを壊すことなく、パーツが外れにくい」値になっているため、パーツの組み付けに対して信頼度が上がります。
また、カーボンフレームやカーボンシートポスト、カーボンハンドルなどのカーボン製品は、一点への強い力に弱い性質があるため、メーカー指定のトルク以上で締めてしまうとクラック(ヒビ)が入ってしまう可能性が高くなります。
そのため、「カーボンパーツを使うならトルク管理が必須」と言われるわけです。
トルクレンチを使うデメリット
メリットが多いトルクレンチですが、デメリットもあります。
まずはレンチ自体が高額です。一般的なアーレンキーは3,000円もあれば高品質なものを揃えることが出来ますが、トルクレンチは1万円ほどすることがほとんど。大事なバイクのためとは言え、頻繁に使うわけではない工具に1万円出すのは躊躇してしまいます。
また、トルクレンチのもう一つのデメリットは「使い続けることで測定値がズレる」「メーカーによっては正確なトルク値が出ない」という可能性がある点。
トルク値がズレると、トルクレンチの指定の通りに締めていたら締め付け過ぎてクラックが入ってしまったりするため、意外とリスクが潜んでいると言えるでしょう。
トルクレンチは頻繁に使うことでズレが生じますし、品質の低いトルクレンチは買った時点で正しい数値が出ないことがあります。そうしたことがあるため、プロショップなどでは、品質に間違いがないメーカーのトルクレンチを導入して、一定期間使ったらメーカーにレンチを預けてトルク矯正をしてもらうのが通常です。つまり、トルクレンチは「レンチ自体を整備する」という手間があるのです。