Qファクターとは?計測方法と適正値の決め方、調整方法まとめ

最終更新日: 2023/11/02

公開日: 2022/01/27

ペダリングの効率を高めるための重要な要素である「Qファクター」。Qファクターとは何か、計測方法と適正値の決め方、調整方法をまとめました。

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Qファクターとは?

Qファクターは、「左右のクランクのペダル取り付け部分の間の距離」のことを指します。

Qファクターはペダル取り付け部分の間の距離

ペダル間の距離は、BBシャフトの長さとクランクアームがどれくらい曲がっているかに依存するため、基本的に選んだBB、クランクによってQファクターが決定します。

シマノのクランクであれば、Qファクターはクランクのスペックに記載があります。

Qファクターがライドに与える影響は?

Qファクターが広ければペダリングはガニ股気味に、狭ければ内股になっていきます。

自転車では、内股になると身体の重心を適切にペダルにかけられるので、ペダリング効率が高くなります。逆に、ガニ股になるほどペダリングのパワーは外向きに逃げてしまいますが、足が開いている分、重心が広く、安定性が高くなり、足を付きやすくなります。

そのため、一定のペースでハイケイデンスを出すロードバイク向けがQファクターが狭く、MTBなど頻繁に足を着ける自転車では、安定性を高めるためにQファクターを広くします。

また、同じロードバイクでも、ライドする人間によって適切なQファクターは異なります。骨盤が広い人ほどQファクターは広くなるため、小柄な女性が一般的なロードバイクのクランクを使うと、ガニ股気味になってしまうのはこのためです。

適切なQファクターを選ぶメリットと得られる効果

適切なQファクターを選び最大のメリットは、ペダリングが身体にフィットする点です。

例えば、ロードバイクであれば、サドルの上で一定間隔でペダリングをするので、足を真っ直ぐした状態でペダルが真下に来るようにすれば、踏み込む力を漏れなくペダルに伝えることができます。膝を真っ直ぐ上にあげて下ろす感覚です。自転車の重心が真ん中によるため、ペダリングが安定します。

足を畳んでペダリングするのがロードバイク

また、ロードバイクでは空気抵抗も重要な要素なので、Qファクターが狭いと身体を畳んでライドする姿勢になり、空気抵抗的にもプラスの効果が見込めます。

一方で、ペダルの上で立つシーンや片足をつく動作が多いMTBでは、自転車の重心がフレームのセンターに寄ってしまうとバランスを崩し転倒しやすくなります。そのため、MTBでは悪路での安定性を重視してQファクターが広めに設定されています。

路面状況によって姿勢が変わるのがMTB
Qファクター メリット・効果 デメリット
広げる 重心が安定する
足がつきやすい
ガニ股ペダリングになる
空気抵抗が増える
狭める ペダリングが効率的になる
空気抵抗が減る
バランスが取りづらくなる

Qファクターの計測方法は?適正サイズは?

Qファクターの計測方法は、ペダル間の距離を計測するだけです。ただし、クランクは互い違いになっているので、メジャーなどを当てながら、自転車でクランクを回転させて計測しましょう。

現在のクランクのQファクターを計測したら、自分の最適なポジションと比較して、外側に出ているのか、内側すぎるのかを確認しましょう。

シューズをビンディングで固定しない状態でペダリングをしてみて、1cmずつ内側、外側にずらして一番自然にペダリングが出来るポジションを探します。自然なポジションがわかったら、現在のQファクターとの差を出します。

適正な場所が内側ならズラした距離を2倍して引く、外側ならズラした距離2倍して足せば最適なQファクターを割り出すことが出来ます。

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Qファクターの調整方法

Qファクターの調整方法にはいくつか種類があります。

Qファクター調整方法 広げる 狭める
クランクの交換
(サイズによって不可)

(サイズによって不可)
BBの交換
(BBの種類によって不可)

(BBの種類によって不可)
ペダル・クリートで調整
スペーサーを使う -

それぞれの方法を解説していきます。

クランクを変更する

一番手っ取り早いQファクターの変更方法はクランクを交換することです。クランクを交換すると、大きくQファクターを変更できるケースが多いので、現在のクランクのQファクターが大きく合わない時に試すやり方です。

Qファクターはクランクごとに決まっているので、現在のクランクのQファクターと、自分にとって適切なQファクターを出して、そのスペックに近いクランクを探しましょう。

Qファクターが短いクランクを交換する場合は、自転車がどれくらいのQファクターまで許容できるかも計測しておきましょう。計測方法は簡単で、現在のクランクを並行にして、シートステートの隙間を計測すればOKです。

ここをしっかりと計測して選ばないと、クランクを交換したらチェーンステーに干渉してクランクを回せなくなってしまいます。干渉するリスクを考慮して、最低でも5mmくらいは余裕を持たせた方が良いでしょう。

なお、クランクを変更する場合は、クランク長も大事になるので、自分にあったクランク長のものを選ぶのも忘れないようにしましょう。

BBで調整する

一般的なスクエアBBのクランクの場合、BBにシャフトが一体化されている上に、様々な長さのシャフト長(軸長)のモデルが用意されているので、BBの交換だけでもQファクターを変更することができます。

例えば、シマノのスクエアタイプのBBである「BB-UN300」は、107mmから127mmまでラインアップがあるので、最大で2cmもQファクターを変更することができます。

シマノのホローテックIIクランクはシャフトがクランクセットに一体化しているため、BBでの調整は出来ません。

ペダル・クリートで調整する

クランクのQファクターを変更しなくても、数mmの範囲であればクリートでQファクターを調整ができます。

やり方は簡単で、シューズに取り付けるクリートの位置を横に移動するだけです。クリートの位置を大幅にズラしてしまうと、踏んだ時の重心がズレてしまうので、数mmまでの調整で使うイメージです。

なお、Timeのビンディングペダルはクリートの位置を横に調整できない代わりに、左右のクリートを入れ替えることで、Qファクターを調整できるようになっています。

クランク・ペダルスペーサーを使う

Qファクターを広げたい場合は、サードパーティから出ているクランク・ペダルスペーサーを使うのも一つの方法です。

スペーサには「ワッシャータイプ」と「ボルト延長タイプ」の2種類があります。

ワッシャータイプのスペーサは挟む枚数でmm単位で調整が可能ですが、挟むことで取り付けトルクが確保できなかったり、クランクへダメージを与えてしまうケースもあるので、対応するクランク、ペダルをしっかり確認して使うようにしましょう。

サドルの高さ・前後も調整しよう

Qファクターを詰めた時に注意したいのがサドルの調整です。Qファクターを詰めると自然と内股でペダリングをすることになるので、内ももがサドルに擦れる場合があります。

もし、Qファクターをつめてサドルに当たるようになってしまったら、サドルの位置を後ろに下げてみましょう。そうすると、内ももの横にサドルのノーズ部分が来るので、摩擦を軽減できます。

それでも擦れてしまうようであれば高さを下げるか、サドルの交換を検討しましょう。選び方としては、ノーズ幅が狭いサドルにするか、女性向けのショートノーズサドルにするのも手です。

SELLE ITALIA (セライタリア) レディースサドル SLR BOOST LADY SUPERFLOW

ロードバイク向けサドルメーカー大手のセライタリアの女性向けサドル。サドル中央部の空洞が通常の穴あき(中抜き)サドルよりかなり大きくノーズも短い。
メーカー セライタリア
タイプ 中空き・ショートノーズ
パッド素材 FIBRA TEK(GEL入り)
重量 198g〜

Qファクターを広げたことでサドルが合わなくなった場合は、テール部分の広いサドルに交換するとペダリングが安定します。

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シマノのロードバイク向けクランクのQファクターまとめ

最後に、シマノのロードバイク向けのクランクのQファクターを見てみましょう。

型番 グレード Qファクター(mm)
FC-R9200 DURA-ACE 148
FC-R9100 DURA-ACE 146
FC-R8100 ULTEGRA 148
FC-R8000 ULTEGRA 146
FC-R7100 105 148
FC-R7000 105 146
FC-5800 105 146
FC-4700 TIAGRA 150
FC-RS400 TIAGRA 150.3
FC-R3000 SORA 150
FC-R3030(3x9) SORA 158.8
FC-3550 SORA 150.3
FC-3503(3x9) SORA 159.2
FC-R2000 CLARIS 150
FC-R2030(3x8) CLARIS 158.8
FC-2450 CLARIS 152
FC-2403(3x8) CLARIS 157.5

レーシンググレードの105以上になると146mmが標準で、最新のDURA-ACE・R9200とULTEGRA・R8100で2mm広がって148mmとなっています。

一方で、レースグレードではないTIAGRA以下のクランクは150mmがベースで、フロントトリプル・クランクになると158mm前後と、105グレード以上のクランクと比較して10mm(1cm)以上も広くなっています。この辺りは、レース仕様か、そうでないかの差でしょう。

Qファクターを詰めたいと考えた時に、すでに105以上のクランクが装備されている場合は、クランク変更による変化は出来ません。しかし、TIAGRA以下のクランクから105以上のクランクにアップグレードすると、2〜13mmほどQファクターを詰めることが出来ます。

Qファクターに関するよくある質問

Q.

どんな時にQファクターを変える?

A.

Qファクターはライドスタイルにペダリングが合っていないと感じた時、もしくは機材に合わせて見直すことが多くなります。

ペダリングのフィッティングという意味では、より効率よくペダリングをするためにQファクターを短くしたり長くしたりします。

機材に合わせるケースでは、例えばMTBなどリアエンドが広がっているフレームを使う場合、Qファクターが短いとチェーンステーとチェーンリングが歯数によっては干渉してしまうため、Qファクターを広げて対策をすることもあります。

Q.

Qファクターを変えるとペダリング時の足の痛みがなくなる?

A.

ペダリングがガニ股気味になっていることが原因で、膝などに痛みが出ている場合は、Qファクターを変えることで痛みが軽減されることもありますが、ペダリング時の痛みの原因は複数の要因があるため、必ずしもQファクターだけで改善されるものではありません。

サドル位置やクランク長、ハンドル周りのセットアップも関係してくるので、痛みで悩んでいる場合は、プロショップにあるフィッティングマシーンで、Qファクターも含めて適切なセットアップを計測してもらうのがベストです。

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